【節税コラム5】外形標準課税

更新日付: 2013年06月8日
◇外形標準課税のあらまし
外形標準課税は、法人事業税(都道府県民税)に対する課税制度です。
法人事業税の外形標準課税は、資本金1億円超の法人を対象として、平成16年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。
法人事業税は、下記のように計算されますので、今まで課税されなかった赤字法人も課税対象になります。
資本金の額に応じて課税される資本割と付加価値の額(当期損益+人件費+支払利息+地代家賃)に応じて課税される付加価値割が、新たに新設されたためです。

(法人事業税の算式)
法人事業税額=所得税割+付加価値割額+資本割額

☆所得割・・・各事業年度の所得及び清算所得×7.2%
算定方法は従来どおりです。従来の税率は、9.6%でしたが、他の課税標準導入により、7.2%に引き下げられました。

☆付加価値割・・・各事業年度の付加価値額×0.48%
付加価値額=単年度損益+収益分配額
収益分配額=報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料

☆資本割・・・各事業年度の資本等の金額×0.2%
       資本等の金額は、期末の資本金額または出資金額+資本積立金額です。

◇外形標準課税の考え方
対象となる法人は、資本金1億円を超える法人であり、全法人約246万社のうち、約3.1万社が対象となります。
法人事業税のうち、4分の3は従来の所得課税、4分の1が外形標準課税となります。
外形標準課税分のうち、3分の2を付加価値割、3分の1を資本割と見ております。
法人事業税の所得割の税率が9.6%から7.2%に75%引き下げられるため、法人所得税の実効税率は外形標準導入後、現行の40.87%から、39.54%に引き下げられます。
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収益分配額は、報酬給与と純支払利子と純支払家賃を合算したものです。ただし、雇用安定控除に該当する場合は、収益分配額から控除します。(下記参照) ◇付加価値割と資本割の緩和措置
資本金1億円超の法人を対象に導入された法人事業税の外形標準課税ですが、税負担増を配慮した措置もいくつかとられております。
付加価値割については、収益分配額に占める報酬給与額の割合が高い法人に対して、配慮措置が講じられました。賃金が一定割合を超える企業については、雇用安定控除により課税ベースが圧縮されます。
資本割については、資本等の金額が特に大きい法人に対し、配慮措置が講じられました。資本割については、
①課税ベースから持ち株会社の子会社株式を除外し、
②資本等の金額が1000億円を超える法人については資本等の規模に応じて課税ベースを圧縮されます。

◇付加価値割のしくみ

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☆報酬給与
従業員等の労働に対して支出されるべき報酬、給与、賃金、賞与及び退職給与並びにこれらの性格を有するもの(原則として法人税において損金の額に算入されたものに限ります。)の金額を合計したものです。
ただし、労働者派遣契約に基づき派遣労働者の派遣を受け、又は派遣を行う法人の報酬給与額については次のように取り扱います。    A派遣労働者の派遣を受ける法人については、当該派遣労働者に関する労働者派遣契約の契約料の75%(みなし派遣給与額という)を
   報酬給与額に加える。    B派遣労働者の派遣を行う法人は、報酬給与から、みなし派遣給与額を控除して得た金額を報酬給与とみなす。
   (計算した結果報酬給与が、マイナスになった場合は、報酬給与はゼロ)

☆純支払利子
年間の支払うべき支払利子の合計額から、年間の支払を受けるべき受取利子の合計額を控除した金額です。

☆純支払賃借料
年間に支払うべき土地・建物に係る賃借料その他経済的な性質がこれに準ずるもの(土地・建物の使用期間が1ヶ月未満のものを除く) の合計額から、年間に受け取る賃借料の合計額を差し引いたものです。(支払賃料から受取賃料を差し引いてマイナスになった場合は、 ゼロとして計算)

☆雇用安定控除
報酬給与額が収益分配額の70%を超える場合には、雇用安定控除が適用され、雇用安定控除を収益分配額から控除します。
雇用安定控除は、下記の算式で計算します。
雇用安定控除=報酬給与額-収益分配額×70%

◇資本割のしくみ
資本割額=資本等の金額×0.2%
資本等の金額は、事業年度末における資本の金額又は出資金額+資本積立金額です。

☆持株会社の特例
ここで持株会社とは、子会社(発行済株式の50%を直接又は間接で保有している会社)の株式の帳簿価額が、総資産の50%を超える法人を いいます。持株会社の場合は、子会社株式の割合分を課税標準から控除します。従って、下記のようになります。

 持株会社の控除額=資本等の金額×子会社株式価額/総資産額
 課税標準=資本等の金額-持株会社の控除額

☆資本等の金額が1000億円を超える法人の特例
資本等の金額のうち1000億円を超える部分については、下記のように一定割合を乗じた金額を課税標準とします。(割り落とし)
また、資本等の金額が1兆円を超える部分は課税標準に算入ないこととなっており、1兆円を超える法人は、資本等の金額を1兆円とみなし て計算します。
(資本等の金額の割り落とし区分)
 1000億円超~5000億円以下の部分⇒50%
 5000億円超~1兆円以下の部分   ⇒25%
 1兆円超の部分            ⇒0%


 1000億円⇒1000億円
 3000億円⇒2000億円
 5000億円⇒3000億円
 7000億円⇒3500億円
 9000億円⇒4000億円
 1兆円   ⇒4250億円

◇赤字法人に対する徴収の猶予
赤字法人に対して、最長6年間徴収を猶予する制度です。
外形標準課税は、資本金の額に対して課税したり、人件費や家賃や利息のようにキャッシュアウトしている部分についても付加価値分として課税したりするため、赤字法人であっても課税対象とされてしまいます。赤字法人はキャッシュフローがマイナスで、外形標準課税分の納付が困難な場合が多いことも予想されますので、地域経済や雇用に有意義な赤字法人の資金事情について配慮した制度です。
この猶予制度により延滞金は50%軽減されますが、適用を受けるためには都道府県知事への届出による認定が必要です。

☆徴収猶予の要件
下記の要件に該当する法人は、都道府県知事に申請することにより、3年以内の期間に限り、法人事業税の全部または一部の猶予を受けること ができます。猶予が認められた場合は、延滞金の50%が免除されます。

①3年以上継続して欠損法人であって、地域経済・雇用に与える影響が大きいと認められる場合
②創業5年以内の欠損法人であって、その技術の高度性又は事業の新規性などが地域経済に寄与すると見込まれる場合

☆徴税猶予の延長
徴税猶予した期間内にその猶予した金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、その猶予期限からさらに最長3年に限り、その徴税が猶予されます。従って、最長で6年間徴税の猶予を受けることができるわけです。

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