【節税コラム4】消費税の総額表示

更新日付: 2013年06月8日
◇消費税の総額表示とは
事業者が消費者に対して、商品の販売、役務の提供等の取引を行うに際して、取引価格を表示する場合には、消費税等(地方消費税20%分、現行の5%消費税のうち1%分を含む)の額を含めた価格を表示することが義務付けられました。
ただし、もっぱら他の事業者に対して取引を行う場合には総額表示する必要はありません。
なお、併せて税額等を表示することは差し支えないこととされています。

(参考)消費税法第63条の2
「事業者は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合において、あらかじめその資産又は役務の価格を表示するときは、その資産又は役務の提供にかかる消費税相当額及び地方税の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。」

◇適用期間
消費税の総額表示は、平成16年4月1日から適用になります。

◇なぜ「総額表示」を義務付けるのか
これまでの主流であった「税抜価格表示」では、レジで請求されるまで最終的にいくら支払えばよいのか分かりにくく、また、同一の商品やサービスでありながら「税抜価格表示」と「税込価格表示」が混在しているため価格の比較がしづらい状況が生じておりました。
総額表示は、消費者が値札等を見れば消費税相当額を含む支払総額が一目で分かるようにするためのものです。
総額表示が導入されれば、消費者は、いくら支払えばその商品やサービスが購入できるか、値札や広告を見ただけで簡単に分かるようになります。

◇総額表示の対象
総額表示の義務付けは、値札や店内掲示、チラシ、商品カタログなどによって、商品やサービスの価格をあらかじめ表示する場合を対象とします。
したがって、取引成立後に作成する「レシート(領収書)」や「請求書」などについては直接の義務付け対象とはなっておりませんので、これまで通 りの表示方法でも差し支えありません。
総額表示は、一般消費者に価格表示するあらゆる表示媒体に適用されます。具体的には、以下のとおりのものが考えられます。

 ①値札、商品陳列棚、店内表示、商品カタログ等への価格表示
 ②商品パッケージへの印字、あるいは貼付した価格表示
 ③新聞折込広告、ダイレクトメールなどにより配布するチラシ
 ④新聞、雑誌、テレビ、インターネット、電子メール等の媒体による広告
 ⑤ポスター、看板等

なお、総額表示の義務付けは、あくまでも価格を表示する場合を対象とするものであって、店頭などで価格を表示していない場合などは対象にならず、これまで価格表示をしていなかった事業者(取引)に価格表示を強制するものではありません。

◇消費税の総額表示の仕方
基本的には、値札等で消費税を含めた税込価格を前面に出すのであれば、商品やサービスに応じて、下記のように任意に選択できます。

(例)本体価格10,000円+消費税500円=10,500円の商品の総額表示
(表示方法)
①総額の内訳として、本体価格と消費税額を示す方法
10,500円(本体10,000円、税500円)

②総額の中に含まれる本体価格を示す方法
10,500円(うち税500円)

③総額と税抜き価格を併記する方法
10,500円(税抜き価格10,000円)

④総額が税込み価格であることを示す方法
10,500円(税込み)

⑤総額のみ表示
10,500円

⑥税抜きと税込みの併記
10,000円(税込み10,500円)

◇総額表示Q&A

Q1 総額表示に対応するためにレジシステムを変更する必要はありますか?
A 総額表示義務は、値札や広告などにおける支払総額の表示を義務付けるものであって、レジのレシートなどに総額表示を義務付けるものではありません。したがって、レジシステムの変更が強制されることはないでしょう。
ただし、これまで税抜き価格ベースで計算するレジシステムを用いていた場合は、消費税の端数処理の関係で販売代金の総額が異なる場合があります。税抜き価格が20円で割り切れない価格の商品・サービスの場合です。
例えば、税抜き200円の商品ならば、税込みは205円になりますので、1個購入したら205円で2個購入したら410円となり、税抜きトータルに5%を掛けた場合と結果は同じです。
ところが、税抜き150円の商品の場合は、税込み単価は157円(157.5円の端数を切り捨てるので)となります。2個購入した場合、税抜きトータルに消費税をオンすると315円になりますが、総額表示単価157円×2で計算すると314円となり、計算結果が異なってきます。
このような場合には、チェーン展開している業態においては、価格タグの発行システムがPOSレジと連動していること等により、レジシステムを変更するなどの対応が必要になると考えられます。個々の小売店で現在普及しているレジスターであれば、外税・内税の切替が可能なものが一般的であるので、特に変更は必要ないでしょう。

Q2 総額表示しなかった場合に、罰則はあるでしょうか?
A 罰則規定は特にないので、罰則はありません。

Q3 希望小売価格も総額表示にする必要がありますか?
A 希望小売価格は小売店が消費者に対して行う価格表示ではないので、総額表示の対象外です。
製造業者、卸売業者等小売業以外の事業者が、販売する商品に対して、いわゆる希望小売価格を設定して商品カタログ等に表示している場合がありますが、この希望小売価格は、小売店が消費者に対して行う価格表示ではありませんので、総額表示義務の対象にはなりません。

Q4会員制の店舗等における取引も対象になりますか?
A会員の募集が広く一般を対象に行われている場合には総額表示の対象になります。
総額表示義務は、「不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合」を対象としていますが、会員制のスポーツ施設(スポーツクラブ、ゴルフ場)など会員のみを対象として商品やサービスの提供を行っている場合であっても、その会員の募集が広く一般を対象としている場合には、「総額表示義務」の対象になります。

Q5値引販売における価格表示は?
A例えば「二割引」とか「500円引」とする表示自体は、総額表示義務の対象になりません。
スーパーマーケット等の値引き販売の際に行われる価格表示の「何割引」「何円引き」とする表示自体は「総額表示義務」の対象とはなりません。 値引き後の価格を表示する場合には、総額表示する必要があります。

Q6卸売業者が小売業者や業務ユーザー向けに作成した商品カタログは総額表示の対象になりますか?
A卸売業者が小売業者や業務ユーザーとの間で行う取引は、事業者間取引になりますので、小売店や業務ユーザー向けに作成して配布している事業者向けの商品カタログは総額表示の対象になりません。
総額表示義務は、「不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合」を対象としています。したがって、特定者との間で個々の契約や注文に基づいて行われる一般的な事業者間取引は「不特定かつ多数の者」に該当せず、総額表示義務の対象外となります。卸売業者が小売店や業務ユーザーとの間で行う取引は、事業者間取引となりますので、事業者向けの商品カタログは総額表示の対象にはなりません。

Q7総額表示に対応するために会計処理プログラムを修正しましたが、税務上の取り扱いはどうなりますか?
Aプログラムの修正が現在使用しているソフトウェアの効用を維持するために行われる場合には、その修正のための支出は修繕費として取り扱われます。従って、総額表示対応のためだけにソフトウェアを修正した費用部分は、修繕費として損金処理できます。

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